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  • 執筆者の写真medicaproject 医療福祉ライター今村美

『小児科医は自分の子どもに薬を飲ませない』


『小児科医は自分のこどもに薬を飲ませない』

これまでのHPもまだ生きてはいますが、新たにHPを立ち上げたことに伴い、ブログもこちらにお引っ越しすることに。 記念すべき第1回は、最近読んだこの本をご紹介。 とりうみ小児科院長鳥海佳代子著『小児科医は自分の子どもに薬を飲ませない』。

タイトルだけを見ると、アンチワクチン!アンチお薬!自然療法バンザイ!・・・な内容をイメージされる方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそうではなく、「子どもに予防接種ワクチンを受けさせるか否か」の情報を求めてこれまで読んできた本の中でもっとも共感できるスタンス、フェアな情報提供がなされている本と感じました。

2010年に長女を生んで以来、予防接種関連はそれなりに情報収集し、家人とも散々議論を重ね、結果、わが家では子どもたちに基本的にはワクチンを打ってもらうというスタンスに落ち着いています。理由は予防接種ワクチンの大義名分はわが子を守るという以上により多くの人たちを守ることにあり、予防接種法にある「努力義務」(第九条参照)ってやつを果たすことにしたというわけです。(余談ですが、会社で毎年接種が義務付けられている家人以外、インフルエンザワクチンは接種していません。)

つまり、「努力義務」であって、「強制」ではないということ。個々のご家庭でワクチンを受けないという選択があってもそれはそれでよいわけです。とっても真剣にこの問題に取り組んでいらっしゃる親御さんが行政に「虐待」よばわり(に近い対応)なんぞをされるいわれもない。

ちなみに、マクロビやらオーガニックやらそんなミーハーな類も私個人の嗜好としては大好物♡ですが、医学的根拠があるとか、直接的な「健康」のためにやっているというのではなく(こころの健康とか、健康に対する気持ちのもちようとか、間接的な健康にはつながっていることは否定しません)、あくまで趣味嗜好。

で、本著に話を戻すと、鳥海先生は夫も小児科医。タイトルにある「お薬」に関して言えば、夫が子どもに処方した薬の9割を捨てていたと言います。同じ小児科医でもスタンスが違えば、処方されるお薬の数もそもそもお薬を処方するか否かも変わってくる。なぜ鳥海(佳代子)さんが薬をバンバン捨てていたかといえば、風邪や胃腸炎の原因となるウイルスは大半がウイルスであるため抗生剤が効かない、また風邪などのときに処方されるお薬は咳を和らげたり気管支を拡げたりというあくまで補助的な薬であって、病気自体は免疫でなおすものという考え方が前提にあります。

まさにわが意を得たり!わが家ではよっほどぐったりしている、高い発熱が3日以上続く、なんらかの感染症が疑われる発疹が出る(←この場合、保育園へ通っている手前ほかのお子さんたちに迷惑がかかるといけないので念の為受診します)といった症状がでない限り、病院を受診することもなければ、ラッキーなことにこのスタンスをよく理解してくださっているかかりつけ小児科医がいるため、受診をしても基本的にお薬が処方されることもなく(「先生の商売が成り立たないね。ごめんなさーい」と心の中でひそかに謝罪)やってこれています。 そして、やはり気になる予防接種ワクチン。「予防接種については書きたくありませんでした」と正直な心持ちを告白しつつ、「自分の子どもであったら」どのワクチンを受け、どのワクチンを受けないのか、誠実に答えてくださっています。「予防接種を受けるか受けないかは親が決めるもの」と親御さんの意見を尊重する姿勢の鳥海先生が「「これだけは、ぜひ受けてほしい」と考えているのが、麻疹風疹(MR)混合ワクチン」であることは、ここに記しておきます。

鳥海先生ご自身も著書の中で触れられていますが、多くの小児科医は予防接種推進派です。なぜならその病気で苦しむ子どもたちと実際に接する機会が多いから。そんな背景も踏まえつつ、どのワクチンを受けて、どのワクチンを受けないのか、しっかりと親御さんたちには向き合ってもらえたらと思います。 予防接種や医療との付き合い方を考える上でも、ぜひ小さなお子さんをもつお父さんお母さんに手にとってもらいたい良書です。

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