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執筆者の写真medicaproject 医療福祉ライター今村美

シネコヤで『かぐやびより』を観る。

更新日:2022年4月20日

ぐるんとびーの敏腕ケアマネ石川さんが FBで「誰か一緒に行きませんか〜」と呟いていたのに即反応し、お互いの娘ちゃんも連れて、4月17日の最終回へ。


『かぐやびより』@「映画と本とパンの店」シネコヤ


まずね、今回、初めて知ったシネコヤさんがですね。

映画と本とパンってさ、好きと好きと好きのかけ合わせって、もうなによ?!って言いたくなりますよね。

って、語調が思わず変わってしまうくらい、素敵なコヤ。


味わいあるソファーに腰かけて、美味しいカフェオレ飲みながら、なんなら美味しいパン

食べながら、くつろぎながら映画観られるってさ。もうなんなの、サイコーじゃないの、これ。


こじんまりと、特別な映画を、大切に観る空間として、シネコヤさんはミニシアター系映画好きにはたまらない佇まいと思われます。


さて、本題の『かぐやびより』。

知的&精神障がいのある人たちが通う日中一時支援の福祉施設「さんわーくかぐや」の日常を切り取ったドキュメンタリー映画。


さんやーくかぐやの日常は、人間が愛おしくなる泥臭さにあふれていて、語られるそれぞれの生きてきた歴史は溜息が出る重さなのに、その抱えてきたものに言葉を失うほどなのに、映画自体には暗さは感じられない。それどころか、その重さには似ない軽やかさと明るさすら。


あぁ、この場所があってよかった、と思うと同時に、ここにたどりつくまでの困難を味わうことなく、困難の芽が出るかでないかのうちに、支援を必要とする人には、あたたかい眼差しの支援が届いてほしいし、そういう社会であるべきとの思いがふつふつと沸いてくる。


さんわーくかぐやに通ってくる人たちの、白菜の絵やら、なんだかよくわからない土のアート作品やら、いろんなアートが出てくるたびに、一緒に映画を観に行った娘の、「すごい」と、こころから思っていることが伝わってくる小さな呟きが聞こえてきて、映画に彩りを添える。


昨日の3回上映中最終回は、映画が始まる前にさんわーくかぐやの仲間たちの舞台挨拶、終了後に監督のトークショー、さんわーくかぐや理事長藤田さんの挨拶、映画にも登場したパフォーマーの緒結火( o∞n musbi )のハンドパン演奏…と盛りだくさん。


娘もいろいろと感じるところがあったようで。

一緒に観に行けてよかったなぁ。


「他者に想いを馳せられる人間に」がモットーの私の子育ては、逆に娘に生きづらさを生んでいる気がしなくもなくて、スマートに生きることから遠ざけているような気もしなくもなくて、うっかり後悔してしまいそうになるときもあるけれど。


でもやっぱり、子どもたちには、温かな眼差しの支援を贈れる人になってほしいし、必要なときには温かな眼差しの支援を感謝して素直に受け取れる人になってほしいから、いろいろ迷って、間違っていることもあるだろうけれど、大筋ではきっとこれでいい。


心の美しい人たちが悲しまなくてよいピースフルな世界のほうが当たり前の日常になりますように、と、強く強く願ってしまった一日と、映画、でした。


シネコヤさんで5月8日まで上演中です。

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