top of page
  • 執筆者の写真medicaproject 医療福祉ライター今村美

収容所ではなく、ホームに?!

精神病院では、国の施策で長期入院患者(固定資産、という呼称すらある)がどんどん減っていることもあり、代わりに認知症の患者さんを「お客さん」としてどんどん迎え入れようという動きがあることは、既にいろんなところで指摘されている通りである。

そんなのとんでもなーい!!と鼻息荒くプンスカしていたわけだけれども、プンスカしたところで、どこにも行き場のなくなった患者さんや介護者にとって、その困難な状況を変えてくれるだろう救いの糸として、目に映ってしまうだろうことは想像に難くない。

いまのこの状況を変えてくれるならなんだっていい。

受け入れてくれるところがあるんだったら、どこだっていい。

既得権益を持っている人たちが、自分たちにとって都合のよい方向に物事をもっていこうとする流れもそう簡単には変わらない。

両者の利害はたぶん一致してしまう。

本当にこの流れを止める方法はないのだろうか??とずーっとぐるぐると思案していたらば、ふと、精神病院を収容所だと思うからそんなのダメだ~!!ということになるけれども、精神病院がホーム、居心地のよいもう一つのわが家になるならばどうだろう?と思考を転換する。

これなら、既得権益を持つ人たちの利益を損なうこともない。ただ「固定資産」を「管理」するのではなく、一人の人として向き合って温かいケアと温かい場所を提供する。

精神疾患がある人も認知症のある人も、ともに地域で暮らせる人たちは地域へとつなげていく。

それを基本に、自宅で暮らせなくなった人たちの最後の砦として、温かい場所を提供する。

医療スタッフも介護スタッフも人材不足が深刻になっていく中で、「管理」を「適切なケア」へと変えていくことと、精神病院をなくしていくことは、どちらのほうがより現実的な解決策になりうるのだろうか。

最新記事

すべて表示

老人ホームに住んでみた。

もう小5になる娘が1歳半〜2歳頃、ひょんなことから老人ホームに住み込み取材することになった。 2歳下の妹が入院していた病院で同室になった人が老人ホームの経営者で、新しく有料老人ホームを開設するという。話を聞いていると、認知症があろうがなかろうが、出入り自由(※入居者や利用者が自由に出入りができる施設はそう多くはない)。図書室にギャラリー、カフェ、食堂があり、入居者や関係者でない地域住民も出入り自由

どこにだって行ける。

特養で働く知人と話していたら、「離職がハンパない。ひどいありさま」という。 彼女は小学生のこどもがふたりいるので、歩いても行ける距離ということで、その職場で看護師として働いているが、楽しくない職場に居続けるケア職はこれからますます減っていくだろう。 いまのケア職たちは、SNSでつながって、「あら、こんなところに素敵な職場が!」と情報を得て、全国どこでも自分に合いそうな職場を選ぶことができる。 藤沢

命の沙汰は運次第?!

受けられる医療はどこに住んでいてもだれにとっても同じクオリティが担保されるべきだけれども、正直、命の沙汰は金だけでなく、残念ながら運次第と思えることは少なくない。 よい医者にめぐりあうも運。 命が助かるかも運。 こんな側面があるのは、残念ながら現実だ。 そもそも医療資源の単純な問題で、たとえば脳卒中を起こした時に迅速に医療機関にアクセスできる地域に住んでいるのか否かは大きいし、NICUのある地

bottom of page