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  • 執筆者の写真medicaproject 医療福祉ライター今村美

スナフキンの最期。

小2の娘に夫が「わかめちゃんもいつかはふらふら~と出ていって、お父さんはひとりぼっちになるんでしょうね」というので、「私がいますけど? 子どもたちが旅立っても、最後まで残ってるのは私だよー」と横やりを入れたらば、「この中で一番ふらふら~っと旅に出そうなスナフキンは誰でしょう?」と夫。

「お母さ~ん」と娘と息子の即答する声が重なる。

「スナフキン! 褒め言葉じゃん、それ!」と喜んでいたらば、夫と娘から「いや、褒めてないし」と、これまたハーモニー。なんなんだ、この夫と娘の連帯は。

そもそも夫と娘はなんか似ている。心優しく、とても気配りができる人間かと思いきや、案外人の心や状況を読むのは下手くそ。肝心なところで読み違えて、妙な誤解を招いたりする。

ただ、彼らの元から備わっている天性の優しい人間っぷりは、私のように、気配りや優しさをあとからインストールして、いちいち学んで経験値を上げて行かないとアウトプットできない人間からしてみれば、あんたたちスゴイね、と純粋に尊敬するところでもある。

「まぁまぁ、最後はまたふたりになるんだから」との私の言葉には、「最後は人間ひとりですよ」と返された。

もしパートナがいたとしても、通常は、どちらかが先に死んでしまうわけで、どちらかは残される。たとえ子どもがいたとしても、最期の時にそばにいてくれるかなんてわからない。人間は生まれて死ぬまで本当は結局のところひとりなのかもしれない、とも思う。でも、そのひとりとひとりがつながって、たくさんのつながりの中で生きていけば、ひとりだけどひとりではなくなるってことはありえるってことなんだろうと思う。そのつながりは、別に、わかりやすく「家族」である必要もない。

スナフキンはひとりが似合うけれど、でもひとりぼっちって感じはさらさらしない。

ふらりふらりと旅に出ていったとしても、帰ってこられる場所がある。

ムーミン谷は、いつもスナフキンの帰りを待っている。

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