ぐるんとびーを調査するに当たっては、やはりキャンナスのことも視野に入れておかなくてはならないだろうということで、キャンナス菅原由美さんのところへ。 菅原由美さんは、「Can(できること)をできる範囲で」を合言葉に、ボランティアナース集団『キャンナス』を立ち上げた、訪問看護の世界ではレジェンドのような人だけれども、3児の母であり、ぐるんとびー菅原健介さんの母である。
彼女のご著書で、在宅医療に積極的に取り組む、山梨市立牧丘病院院長・古屋聡先生が「その圧倒的な存在感と、華やかなオーラとおばさん型思考形式と、並はずれた行動力に驚きました。現場で感じたことをそのまま行動や仕事、社会的活動に移す力、友だちの友だちは友だち的ゲリラ型ネットワーク構築術、どれをとっても一流で」と紹介されているとおり、学会等でもすぐに発見できる華やかなオーラには圧倒されてしまうけれども、実際に一対一でガチンコ勝負(?)してみれば、「可憐さ」や「謙虚さ」を感じさせる「気遣い」の人でもあり、彼女の周りにたくさんの人が集まってくる理由がよくわかる。 母と子はそれぞれ単独で考えればよいと思うのだけれど、ぐるんとびーには、健介さんがキャンナスの一員として東日本大震災で災害支援を行ったことや、キャンナスで「絆」という小規模多機能をやっていらしたことの、経験やノウハウ、思いが確実に反映されている。
と感じていたところに、大学院の先輩でもある由美さんとえにしの会やら学会やらでこのところ頻繁にお会いすることがあり、キャンナス訪問が実現。 行政の制度内ではなかなか行き届かないところに、必要なケアの手を届けるために、「日本中に星降るほどの訪問看護『志』(訪問看護師)を!」と語る由美さん。(※「訪問看護ステーションを」から「訪問看護『志』(訪問看護師)を」へと変わっていった経緯もまたどこかできちんと記事にしたい)
8割上の方が在宅で死を迎えていた戦後から、昭和51年、ちょうど私が生まれた頃に病院での死が在宅を上回り、平成10年頃には戦後とちょうど逆転し、病院での死が8割を超えるようになった。 そこから20年。国の政策転換もあり、在宅やら地域医療やらとふたたび注目されるようになってきたけれども、介護保険制度が始まる前から、ずっとずっとこのテーマに取り組んできた先達たちの地道な取り組みがあってこその現在であることは忘れてはいけない、と思う。 そして、今後ますます行政による医療保険サービス提供基準がきびしくなっていくことは必至、サービスを受けられない高齢者が増えるのは序の口で、医療介護の制度崩壊もささやかれる中、踏みとどまってそんなに悪くない現在と未来へとつなげるために、「ぐるんとびー」始め、われわれ世代からも、その志を受け継ぎ、敬意を払いつつも、どんどんアップデートされたチャレンジが生まれているし、生まれてくる。 これから医療介護はもっともっとおもしろいことになる。
まなびと共感の充実の時間。
由美さん、ありがとうございました。