先日、とある特養の管理栄養士さんの取材へ行ったら、「介護人材不足が言われているけれど、給食を担当する調理師不足はさらに深刻」というお話を聞く。 最近、特養であれ、小規模多機能ホームであれ、グループホームであれ、どの形態の介護・障がい支援機関へ行っても、まず耳にするのが「人材不足」。 総務省によれば、2015年の生産年齢人口(15~64歳)は7629万人。出生中位・死亡中位で、2030年には6875万人、2060年には4793万人にまで減少すると推計されている。 私が80代の頃には、いまより3000万人近く働き盛りが少なくなっているということになる。
おなじみ?落合陽一さんの、日本のアジアでいち早く進む人口減・高齢化は、「高齢化社会に向けた新しい実験をやりやすい立場」にあり、「もし日本が、人口減少と少子高齢化へのソリューションを生み出すことができれば、それは”最強の輸出戦略になる”」というのには大いに賛同する。テクノロジーを使って、機械化・省人化を進めていけば人口減・高齢化に対処でき、日本は人口減・高齢化であるがゆえに、そのためのテクノロジーの実験・導入をやりやすい状況下にあるというのもその通りだと思う。 一方で、いずれそうなるとして、移行期にあるいま現在、どこもかしこも綱渡り的な現状をどう乗り切るのか。 現実的に、すぐにテクノロジーを導入して、実験ができる財力と胆力(もしかしたらむしろ勇気?)のある現場はたぶんそう多くない。 いや、そう思い込んでいるだけで、その思い込みを外しさえすれば、違ういまが見えてくるのだろうか。 取材をした特養だって、経口摂取維持のための栄養ケアに力を入れているとはいえ、平均要介護度4で「寝かせきり老人」の姿があまり見られず、胃ろうも2年に1件程度というから、特養に抱いていたイメージを変えるには充分。寝かせきり、胃ろう高齢者多数という特養のイメージは、本当に過去のものになっているのかもしれない。 私の思い込みを外すためにも、まずは現場を見ていかなくては、である。