自由ってなんだ?「不」自由を語り合った中洲の午後 –––出版イベント『「不」自由でなにがわるい』@中洲昼スナ「役にたたなくてもいい場所」
- medicaproject 医療福祉ライター今村美
- 4月15日
- 読了時間: 7分
更新日:4月16日
4月13日(日)、中洲 昼スナ『役にたたなくてもいい場所』で『「不」自由でなにがわるい』出版記念イベントを開催しました。
昼スナは、ママである、ご本人曰く、“どこからどうみても”社会福祉士であるフィッシュママことフィッシュ明子さんが「役に立っても立たなくてもいい場所を」と中洲のスナックではじめたもの。

脳性まひの重度障害者であり、本の主人公であるともっちさんこと山下智子さんが、分身ロボットOriHime&視線入力ソフトEyeMotを使って、東京の自宅から遠隔でカクテルを提供するOriHimeママのイベントを開催しているのも昼スナ。ここから始まったイベントの一つです。
本の出版が決まったとき、ともっちさんに一番に書くように言われたのが、昼スナと星つむぎの村のことでした。
第5章「障害があるから社会を変えてきた」のp132に登場する昼スナで、出版記念イベントを開催することは、出版が決まる前から決めていたことでもありました。
内心だれも来てくれなかったらどうしようという不安がよぎるほど小心者、自分でイベントを主催するなぞできれば全力で避けたい現状維持マインドなワタクシですが、「みとちゃん、出版イベントはいつにしますか?」と当たり前のように声をかけ、「イベントページはまだですか?」とさらりとイベントページをつくらせてしまう、フィッシュママのさりげなすぎてうっかり乗っかってしまうアシストなしでは迎えられなかった日です。
フィッシュママ、本当にありがとう。
そして、この大事な感謝を出版イベント本番で伝えそびれてしまううかつさも含めて、自分が本当に愛おしく思えた一日になりました。
オンライン配信のために、PCと大画面をつなぐ接続がうまくいかなくてあわあわしている最中にお客さま来場。
「多分、ここの接続だから、ガムテープで押さえるといい」と、初っ端から助けていただく(笑)
この間、感想シェア会のファシリテーターとして来てくださっていたはずの、合同会社対話のNukadoko代表のひよこさんこと柿田安岐子さんがテキパキと受付…と、もうこの時点で「みんなに助けてもらうしかないね!」と開き直りました。

さて、当日集まってくださった方は、ソーシャルワーカーさんに、社会福祉協議会の方、ライターさんに、歌人、大学教授、アート教室の先生、ホームレス&若者支援団体の代表、セクシャルマイノリティ当事者支援団体の代表、企業の健康経営をサポートする会社の代表、新聞記者さん…etc

まずは、感想シェア会から。
■自由とは、選択肢があること、自分で決められること
・「自由って何?」と考えるきっかけになった。
・子育てしてるから、地方だから、時間がないから——そんな「できない理由」は、実は“自分が不自由を選んでた”だけなのかも。
■「思いやりをもって遠慮しない」
・本に出てくるこの言葉が、今の自分には一番刺さった。
・「これを言ったら迷惑になるかも」「自分にはできないかも」とブレーキをかけがちだったけれど、ブレーキをかけているのは自分自身。
・やりたいことがあったら思いを伝えることが大切。
・本を読んで、私も挑戦しようと思えた。
本を通じて「こんな対話が生まれてほしい」と願っていた対話が目の前で繰り広げられる、とても有意義な時間でした。
次にトークイベント。
■選択肢は「YESか、はいか、よろこんで!」
「みとちゃんに本を書かせたともっちです」の冒頭の挨拶にみんなで爆笑。
続いて、「智子さんの言葉で言えば、表紙のイラストを描か’された‘ユッケこと山崎雄介です」とユッケさん。
この本の表紙をほめてくださる方がひじょーに多いのですが、手がけてくれたのがともっちさんとオリィの自由研究部の音楽部で音楽活動をともにするJERRYBEANSのドラマーユッケさん。

トークイベントでは、本の中でも引用した『太陽と月と僕らの唄』や、この本のテーマソングのような『果実』、ともっちさんのテーマソング『心の居場所』も聴いていただきましたが本業はドラマー。なのに、絵も描けてしまう。
ともっちさんにとって、ユッケさんは大切な「友だち」。
障害を感じさせない「友だち」という存在には、ともっちさんの並々ならぬ想いがあり、何度zoomにユッケさんとふたり呼び出されて、友だちについて対話を続け、書き直したことか…
そんなユッケさんが描いてくださったともっち本の表紙。ぜひとも細かいところまで見ていただきたい。
はてさて、確かにともっちさんからの‘お願い’には、「YESか、はいか、よろこんで!」の選択肢…しかないわけですが、ユッケさんもおっしゃっていたように、ユッケさんも私も自らの選択で迷わずYES。
ともっちさんの「わがまま」はなんだか愉快で、やってみたくなってしまう。そこには障害者であるとか、福祉的ななにかとか、社会貢献とか社会的意義とか、もちろんまったくないとは言わんのだけれど、それ以上になんかワクワクするからやってみたくなるし、YESと思わず言ってしまう。
が、言ってしまったあとが地獄…とは言わないけれど、司会進行をしてくださったフィッシュママの「ともっちさんの挑戦だったかもしれないけれど、みとちゃんの挑戦でもあった」というひと言に大きく頷く。
■確かにテンパってましたがな
共著や翻訳、編集協力というかたちでは本に携わってきたはずなのに、いざ単著で出すとなると、「本ってどうやって出すんだっけ??」と、大いに右往左往してしまったのでした。
まずは類書や売れてる本を研究せねば!と必死になっていたワタクシ、「本棚の本を読みに、自宅に伺ってもいいですか?」とフィッシュママにお願いしてしまうほどテンパっていたエピソードがフィッシュママより暴露される(笑)本人すっかり忘れておったけど、確かに、そのくらいテンパってたましたね…はい…
ちなみに、本を出版してくださった新日本出版社の編集者さんにつないでくださった星つむぎの村の共同代表のお一人、高橋真理子さんにも言われたのが、「みとさん、本を引き受けちゃったんですっていう最初の頃に、どうやったら教科書に載れますか?って聞いてきたよね」。
ともっちさんと私が出会うきっかけとなった星つむぎの村。高橋真理子さんの著書『星空を届けたい』が小学6年生の光村図書の国語の教科書に載ったことが、負けず嫌いのともっちさんの心に火を点け、「教科書に載る」とか言い始めたわけですが、まだ一文も書いておらんのに、教科書って😆
てか、書くのわたしだし!
が、まだ一度もプールに入った泳いだこともないのに、パラリンピックの水泳の映像観て、「金メダル取る!」といきなりそこを目指した結果、実際に脳性まひを対象とした世界大会で新記録を打ち立てて金メダルを取ってくるようなともっちさんがこの本の主人公。
「教科書に載る」言うてるからなんとかせねばならんと思った私の、必死の質問だったことがうかがえるものの、本当にテンパっていたんだなぁということがよくわかります。
テンパリすぎてその後いろいろやり散らかしてますが、その辺りの黒歴史は割愛。
そして、トークの後は、白和え作家・摩呂子さんによる白和えパフォーマンス。

伝統食である白和えは、個性豊かな素材ひとつ一つを白和え衣で‘混ぜる’のではなく丁寧に和えていくことで、素材を活かし合いながら調和する。

摩呂子さんのことばを聴きながら、和えられていく様子を目で楽しんで、そしてできあがった白和えをみんなで感謝していただく。この一連の白和え体験は、ともっち本に通じるものがある!と、摩呂子さんの白和えを初体験した直後にオファーしてしまっていましたが、やはり人選に狂いなし!

期待はしていましたが、意気投合したフィッシュママと摩呂子さんがその場でイベント開催日時まで決めていたスピードっぷりとまさかの昼スナで親子参加OKの白和えワークショップというイベント内容は想像以上。フィッシュママ、いつも期待の遥か上。
▶️イベント詳細はこちら
きっと参加してくださった方々は、ほっこりあたたかい気落ちで帰路についてくださったはず。私たちの本らしい、とても楽しい出版記念会になりました。
昼スナに足を運んでくださった方も、オンラインでトークイベントに参加してくださった方も、この本を応援してくださっている方も、本当にありがとうございます。
こころからの感謝と、これからも応援どうぞよろしくお願いいたします🍀
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