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  • 執筆者の写真medicaproject 医療福祉ライター今村美

老人ホームに住んでみた。

もう小5になる娘が1歳半〜2歳頃、ひょんなことから老人ホームに住み込み取材することになった。


2歳下の妹が入院していた病院で同室になった人が老人ホームの経営者で、新しく有料老人ホームを開設するという。話を聞いていると、認知症があろうがなかろうが、出入り自由(※入居者や利用者が自由に出入りができる施設はそう多くはない)。図書室にギャラリー、カフェ、食堂があり、入居者や関係者でない地域住民も出入り自由。

その人自身、いくつものがんを経験しているサバイバーであり、一看護師から始まり、紆余曲折を経て自らが経営者でもあるという経歴の持ち主で、入院中の患者とは思えないパワフルさ。

なにやらワクワクしたので、開設したら取材に行かせてください!と、妹の見舞いに行って、取材の申し込みをする姉…


実際に取材に訪れたならば、これがまたとても素敵な建築物で、思わず「住んでみたいです〜!」とポロリ。まさか、「あぁよかですよ〜」の流れから、本当に住むことになるとは思わなんだ。


というわけで、幼い娘を連れて、老人ホームに住んでみた。

居心地のよいその老人ホームには、毎日欠かさず入居者に会いに来るご家族も少なくなく、自然と会話をする仲に。

ご家族やスタッフの中には、いまでも連絡を取り合ったり、帰省時に会っておしゃべりをする大切な友人になった人たちもいる。


実家には年に一度か二度、帰る程度だから、なかなか会える機会もないのだけれど、そのうちの一人から、メルアドを変えましたと久々に連絡が来た。

最近のままならない状況を超かいつまんで報告がてら返信すると、「ここ何年かのいただいた年賀状で私なりにな〜んとなく想像しておりましたよ」と返ってきて、年賀状になんて大したことは書いていなかったのになぁ、でもぽろりと何かは書いていたっけ、あぁでもさすがだな、と思う。


彼女のお母さんの最期の時間を私たち親子はともに過ごして、たくさんのことを学ばせてもらったのだよな。

きっと元から繊細でやさしいなにかを持っていた娘は、三つ子の魂百までというみたいに、さらにつつしみ深い繊細さとやさしさの種をもらって、そのことは彼女を苦しめもしたし、いまだってはたからみていてももどかしいくらいだけれど、同時に決してブレない芯のようなものも築いてくれた気がしている。彼女の芯の中にある強さは、揺らぎはしてもブレることなく清々しい。


久々に受け取ったメールの返信は、その人らしくシンプルでさらっとしているのに、私たちを思っていてくださっていることがちゃーんと伝わってきて、こころの奥からじんわり温かいものが広がっていく。

私たち親子にはこういう不思議な距離感で見守ってくださっている人たちがたくさんいて、あぁ、困ったなと途方に暮れていると、ひょいっとつながりを思い出させてくれる。


結局、権力を持つ人が強くて、権力を持ってしまえばなんでもかんでもやりたい放題なんだなーと、ミクロにもマクロにもガッカリすることが続いていたけれど、権力に立ち向かうことはできなくても、大きな流れは変えられなくても、「I'm on your side」ってささやくことには意味がなくはないのかもしれない、と思う。





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