真正面から人と向き合う…やり合うのは痛いので、できるだけ避けたい。
が、本を出すとなればそうもいかない。
ともっちさんこと山下智子という重度の障害のある人のことを書くことには、そしてそのフィードバックを本人から受ける作業は、うん、結構痛いんですが? でもわたしもあなたのことを傷付けてるね? が、勃発する。
ゲラを前に最後の最後に出てくる、違和感を一つひとつ解決して、こういうことかと言葉を重ね合って、いちばんしっくりくる表現を探し当てていく真夜中の作戦会議。
一人っきりで黙々執筆する時間とは全然違う、宝探しの時間。
ただそのまんま受け入れるんじゃなくて、自分の思いもちゃんとまな板の上に乗せて、ちゃんと相手もわたしもしっくりと納得できる言葉を見つけていく時間。
ともっちさんとわたしの間で、それぞれの思いを汲み取りながら緩衝材の役割をしてくれていたJERRY BEANSのユッケさん(本のイラストも描いてくれたともっちさんの親友)の存在もありがたい。
この本を読んでくれた人が、クスッと笑ってくれたらいいし、なんだかこころがぽかぽかしてきてくれたらうれしい。
たくさんの本がわたしのこころにそっとあかりを灯してくれたり、人生のささやかな道標
になってくれたりしたように、そんな本が世に送り出せたらいい。
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