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執筆者の写真medicaproject 医療福祉ライター今村美

劇団⭐︎新感線『BASARAO』@博多座

更新日:7月22日

時代は鎌倉、帝のゴノミカド(古田新太)と幕府側で権力を持つキタタカ(栗根まこと)の争い。そこに、この上なく美しい顔という武器で男女問わずたぶらかし天下を取ろうとする男ヒュウガ(生田斗真)と、ヒュウガと同郷で幕府の密偵から足を洗おうとしたことで命を狙われる男カイリ(中村倫也)、サキド党率いる武士のサキド(りょう)、田舎侍の斬歌党率いるクスマ(村木よし子)、公家出身だけれどべらぼうに強いアキノ(西野七瀬)といった登場人物が絡む。


以下、ネタバレでしかない観劇日記。


ヒュウガを守るために命を捨てて戦う女たちを守ろうともせず、父に夫、男たちに自由を奪われて生きざるを得ない女たちにとって好きな男のために戦って死ねる自由は善とばかりに、女たちが散り行く姿を是とするヒュウガの美学。


殺すと決め殺した男しか愛せず、その髑髏を愛でるアキノの美学。

そのアキノを愛しく思うゴノミカドの妻の、秘めた純愛。


帝か幕府か、それぞれの思惑をどこか互いに認め合いながら、時に味方、時に敵となって戦い合うサキド党と斬歌党。裏切りの中にも筋の通った忠誠心が垣間見える不思議。

ぶっ飛びすぎていてちっとも理解できそうにもないのに、登場人物それぞれの、一人の人間の中に潜む愛とエゴ、善と悪、光と闇、包括された複雑さは一体となって、なぜか誰しもが愛おしい。


敵で味方で味方で敵。


最後にヒュウガの命を狙うのは、最も支えてきたカイリ。

言葉を交わしたこともない、密かな恋心を抱いていた村の女は、ヒュウガの命を守るためにあっけなく死んでいったけれど、ヒュウガは名も覚えていなかった。

国を守るなんて大義名分ではなく、一方的に想いを寄せていた女のための敵討ち。


それにしても、俺は美しい!俺の美しさで天下を取る!と堂々と存在を放つヒュウガを演じて説得力有り余る生田斗真さんという役者の力量ときたら!


何重にも裏があるようでいて、どこまでも一途な純粋さが醸し出されてしまうカイリ演じる中村倫也さんの色香たるや!


あぁいうどこまでもいけすかない感じのエライ人を絶妙な関西弁挟み込みつつ演じ上げてしまう古田新太さん(大好き過ぎる!)始め、役者揃いの劇団⭐︎新感線『BASARAO』。


やっぱり劇団⭐︎新感線はいい!

舞台はいい!大好きだー!

心底舞台好きの血が騒ぐ。

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