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介護のクリエイティビティ

執筆者の写真: medicaproject 医療福祉ライター今村美medicaproject 医療福祉ライター今村美

認知症のケアほどクリエイティビティに富んだものもない。


一度効果のあった手が次に使える保証はほぼない。

数回は使えたとしても、大抵すぐに相手はこちらの意図に気付き、より不可思議な新たな策を練ってくる。


だけれど、彼らの「いま、ここ」の世界に入り込んで、その世界を堪能しようとすれば、自ずと打開策が生まれてくるし、そのクリエイティビティは可笑しみに富んでいる。


だから、私は認知症の現場の話を聴くのが大好きだ。


そもそも論として、排便と脱水の主な2つを筆頭とする身体の不快を取り除けば、多くの問題行動は生じなくなるというのもある。


オムツの中の便は不快。不快だから手を突っ込む。手に便が付く。不快だから、付いた便を周囲になすりつける。そして口唇期へと原点回帰している彼らは、それを食べてしまう。


ただそれだけ。

だから、オムツの中に便をさせず、彼らが便を催した時に、座位で便が出やすい前屈みの姿勢で排便できれば、便秘の不快さもオムツの不快さもなくなり、問題行動もなくなる。


ただそれだけ。

オムツ外しの大切さは、とてもシンプルだ。


もちろん、そう単純ではない、というのも事実で現実だけれども、一度そのシンプルさに立ち戻ってみれば、認知症ケアのクリエイティビティの可笑しみを味わう余白もきっと生まれてくる。はず。

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