従兄といっても存在を知ったのは20歳も半ばを過ぎた頃だったので(祖父の前妻は病死してしまったため我が祖母は後妻で、前妻との間に息子、つまり伯父と従兄弟がいたことが判明)、幼少期から共に過ごした他の従兄たちとはちょっと違って、やはり心理的距離はあるのだけれども、その従兄が他界した。
瓦職人だった従兄は屋根から落ちて、頸椎を骨折し、ドクターヘリで運ばれた。数日は意識もはっきりしていたものの、あの世へと旅立ってしまった。同世代の従兄の急死は、あまりにも想定外で突然で、その知らせを聞いたときに思わず漏れた「ふへぇっ?」という間抜けな声と現実との折り合いのつかなさだけはくっきりと鮮明だけれど、いまだにこんなことがあるのかと実感が湧かない。
夏に山梨から福岡への引っ越し準備のときに入れようか迷って、縁起が悪いような気がして入れなかった喪服。
まさかこんなに早く喪服が必要になる日が来ようとは。
独身で伯母と二人暮らしだった従兄。
伯母にとっては、一緒にドライブに出かけたり、旅行へ行ったりと仲良かった息子の、自分より早い死。生き残っていたとしても全介護は避けられなかった、にしても。
かける言葉が見つからなくて、手を握りしめることしかできなかった。
こんな風に人生は唐突に幕を閉じることがある。
ってことを胸に刻むことになった秋。
生きている以上、死はいつでもそこにある。
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