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執筆者の写真medicaproject 医療福祉ライター今村美

さんぽと真竹

このところまともにお日さまの光も浴びてなかったなぁと、母と散歩へ行く。


数キロ先の道の駅まで、道を挟んでお向かいの神社に手を合わせたのち、道を渡って道の駅へ。

お買い物を済ませて帰り道、竹藪には真竹。


どこぞの誰かの土地のものだろうに、母がポキンポキンと折っては手荷物が増えていく。


ちょうど母が真竹をポキンとするときに、通りがかった軽トラから顔見知りが

「あの奥の方のやつばとらやんもん」。

「あんな奥には入っていけんばい」という母に、

「じゃあ、代わりに取っちゃるたい」と、軽トラを道のど真ん中に止めたまま、降りてきてあっという間に坂を登っていき、長く育った真竹を1本、また1本。切っては下に投げてくる。


えぇっと、他人様の敷地ですよね? 止めるどころか分け入っちゃうんですか? というか、後ろに車続いてますが??? と思っていたらば、「それは大きすぎて持って帰れんばい(持って帰れない)」という母に、後ろのワゴンの人まで降りてきて、「穂先だけ切るとよか。鎌あるばい」と、上から投げられた真竹を鎌でバサリバサリと切っていく。


えぇっと、お知り合いでしたか?? あなたも止めるどころか、車降りてきて、なおかつ鎌で切ってくれちゃうんですか??と、心の中でツッコミを入れる。


母よ、田舎ってすごいね、都会だと泥棒だよ、これ。みんなで泥棒。

でもきっとこの真竹の真の持ち主も「よかよか〜、そんくらい持っていかんね〜」と笑顔で見逃してくれることも、私は知っている。


さすがな田舎あるあるな展開に、「誰も止めんやろうが。むしろみんなで手伝ってくれて、お母さんの人徳たい!」と自慢げな母。

大量の真竹を抱えて、「田舎はよかろうが」と言う母とふたり、なんだかおかしくなって大笑い。


行きはよいよい、帰りは重い〜重いながらも通りゃんせ通りゃんせ〜


のBGMが脳内を流れる中、うん、田舎のこういうおおらかさは、ツッコミどころ満載で、なんだか愉快で笑えるよ。

こころから笑ってしまったな。

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初稿

書いた。送った。 あとは、編集者さんのターン。

Scientist & Novelist

元科学者(研究者)で小説家✖️科学者の対談。 元々研究者を目指していたこともあるからか、研究者とか科学者とかいう人種特有の純粋性や生真面目さ、ストイックさは、心地がよいし、やっぱり好き。 この対談を原稿にするお仕事をくれた昔ながらの友よ、ありがとう。 持つべき者は友。...

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